日本において鍼(はり)はどう広められた? 2021.12.12

 鍼灸治療の歴史は遠く中国にさかのぼります。その発祥は数千年前といわれ、漢方薬とともに東洋医学の中心となってきました。はじめは石で出来た針が用いられ、金属文明の発達とともに、鉄針が使われるようになり、その後、診断及び治療の技術も体系化されてゆき、これらを集大成した最古の医書「黄帝内経」はすでに紀元前に書かれています。
 そこで日本に渡ってくるのですが、仏教とともに中国から渡来した鍼灸術は、奈良時代、既に日本最古の「医疾令」に鍼師、鍼博士、鍼生等の制度として記録に残っています。
 それが広く扱われるのは江戸時代に入り、それまでの裸のむき出し鍼を盲人の鍼師にも扱いやすく管の中に収めた管鍼術をあみだした杉山和一という鍼師がいました。管鍼術は現在の鍼施術の主流となっています。

 杉山和一は江戸で治療所を開くとその噂は瞬く間に広がった。その後徳川五代将軍綱吉公の医師に拝命され、晩年は世界初の盲人教育の場、職業の確立を進めたそうです。それがいつごろかというと寛文10年1670年のころの350年前となります。オランダからやってくる西洋医学の原型となる蘭学はまだ入ってきていない状況でした。

 杉山和一の修業を始めた場所は神奈川県江ノ島の中にある江島神社境内であったそうです。現在も江島神社の中に祀られていますが、東京都両国に江島杉山神社として昭和27年に創られ現在に至ります。

 座頭市などの時代劇に登場する盲人の按摩師と同じく鍼師も盲人の職業の一つであったようです。鍼灸師は現在は目が見える人も就ける職業となっていますが、目が見える人も目が見えない人も全身の五感を駆使した施術を行います。

 皆様方のご健康を常にお祈りして努力し続けております。何かお身体でお困りもしくはご相談のある方はお気軽にご連絡ください。

 

院長写真

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有木一浩

2021年12月12日